税理士法と税理士業務の範囲
税理士又は税理士法人でない者は、税務代理、税務書類の作成、税務相談の税理士業務を行ってはならないこととされています(税理士法2条、52条)。
税務代理
税務代理とは、税務官公署に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立てにつき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行することを言います(税理士法2条1項1号)。
税務代理には法律行為だけでなく、事実行為も含むものとされていますので(税理士法基本通達2-4)個別のマンション管理組合の具体的事案について、マンション管理会社の担当者が、マンション管理組合に代行して、税務当局との間で事実認定、法解釈等の陳述を行うことは、税理士法に抵触する可能性があります。
税務書類の作成
税務書類の作成とは、税務官公署に対する申告等に係る申告書等を作成することを言います(税理士法2条2項2号)。
収益事業の税務申告に添付する計算書類(損益計算書、貸借対照表)は、もともと税法の規定に基づき作成されるものではないから、たとえ、税法上、申告書等の添付書類として提出が義務付けられていたとしても、税務書類の範囲には含まれません。
税務相談
税務相談とは、税務官公署に対する申告等、税務官公署に対してする主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることを言います(税理士法2条1項3号)。
「相談に応ずる」とは、具体的な質問に対して答弁し、指示または意見を表明することを言うものであり(税理士法基本通達2-6)、仮に仮定の事例に基づき計算を行うことまでは含みません。また、一般的な税法の解説なども税務相談には該当しません。
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