税務申告の実務
収益事業開始時の手続き
新たに収益事業を開始した場合には、収益事業を開始した日以後2か月以内に以下の書類を添付して、所轄税務署長に「収益事業開始届出書」を提出する必要があります(法人税法150条、法人税施行規則65条)。
また、都道府県税事務所及び市区町村については、法人設立届出書等を提出することになります(地方自治体により必要書類は異なります)。
添付書類
- 収益事業の概要を記載した書類
- 収益事業開始の日の貸借対照表
- 管理規約
- 代表者が確認できる書類(理事長選任時の総会議事録等)
- 法人設立届出書
確定申告期限及び納付期限
収益事業に関連する税金についての確定申告期限及び納付期限は以下のとおりです。
税金の種類 | 申告期限 | 納付期限 |
法人税 | 事業年度終了の日から2か月以内(申告期限の延長の特例申請により1か月の延長が認められる場合あり(※1)) | 同左 |
法人住民税(法人税割) | 事業年度終了の日から2か月以内(申告期限の延長の特例申請により1か月の延長が認められる場合あり(※1)) | 同左 |
法人住民税(均等割) | 事業年度終了の日から2か月以内(申告期限の延長の特例申請により1か月の延長が認められる場合あり(※1)) | 同左 |
事業税及び地方法人特別税 | 事業年度終了の日から2か月以内(申告期限の延長の特例申請により1か月の延長が認められる場合あり(※1)) | 同左 |
消費税 | 事業年度終了の日から2か月以内(※2) | 同左 |
固定資産税(償却資産) | 毎年1月31日 | 納税通知書に記載の納付期限(※3) |
(※1)管理規約等で総会の開催期日が事業年度終了後3か月以内となっている等の事由で事業年度終了後2か月以内に決算が確定しない場合には、申告期限の延長の特例申請により1か月の延長が可能である(法人税法75条の2、地方税法第72条の25第3項)。
なお、確定申告書の提出期限が延長されると、納付期限も延長されるが、本来の提出期限から、その延長された期限までの間の未納期間については、利子税が課されることとなる(申告実務においては、本来の提出期限内に法人税等の本税相当額を納付することにより、実質的に利子税の負担を回避することが可能となる)。
(※2)消費税には申告期限の延長制度はない。
(※3)都税事務所又は市区町村から送付される納税通知書に納付期限が記載される。一括払いもしくは分納が選択可能である(東京都の場合は、6月、9月、12月、2月の4回の分納もしくは一括払いが選択可能である)。
中間申告
マンション管理組合及び管理組合法人は、法人税、住民税(均等割、法人税割)、事業税及び地方法人特別税については、中間申告の義務はありません(法人税法2条9号、71条、地方税法53条、72条の26)。
消費税については、前事業年度の確定税額が60万円(消費費税48万円+地方消費税12万円)超の場合には中間申告が必要となります(消費税法42条)。
申告書に添付する計算書類
法人税の確定申告を行う場合には、以下の計算書類を添付しなければならないとされています(法人税法基本通達15-2-14)。
- 収益事業に係る損益計算書
- 収益事業に係る貸借対照表
- 管理組合全体の計算書類
収益事業に係る計算書類を作成するためには、収益事業会計を当初から独立した会計区分として処理する方法と、申告書作成時にのみ収益事業に係る部分を抜き出して作成する方法の2つがありますが、収益事業会計を独立した会計区分している管理組合は少ないため、申告書作成時に収益事業部分を抜き出して作成する方法が一般的です。
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