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【インタビュー】管理者管理最新事例 – 三井不動産レジデンシャルサービス株式会社様の取り組み

2017/10/16

【インタビュー】管理者管理最新事例 - 三井不動産レジデンシャルサービス株式会社様の取り組み
高度経済成長期から大量供給されてきたマンションの高経年化とともに区分所有者の高齢化、そして空室化により、理事の成り手不足が問題となっています。このような状況を踏まえ、国土交通省は外部専門家を活用することを念頭に「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を設置し、平成24年1月から平成27年3月にかけて11回にわたり検討会を行い、その成果としての報告書を平成27年3月に公表しました。当該報告書では管理者である理事長業務を第三者に委託する管理形態(第三者管理)について言及していますが、コスト等の問題からなかなか普及は進んでいません。

このような状況において、先進的な取り組みを行っているのが三井不動産レジデンシャルサービス株式会社様です。同社は部門横断的なプロジェクトチームを組成し、第三者管理の一形態である管理者管理(管理会社が管理者となる管理形態)の研究を4年前に開始。本年度から管理者管理による管理をスタートさせるに至っています。

今回、注目される管理者管理の実際をお聞きするために、同社 受託営業部 長崎資世部長にお時間をいただきました。同社の管理者管理の実例と実現までの道のり、そして今後の管理者管理の展開をお聞きしました

理事会業務の第三者委託は付加価値になる

フィールズ:まずは、三井不動産レジデンシャルサービス様のマンション管理サービスについてお聞きしたいと思います。貴社の管理受託規模などお聞かせください。

当社は、三井不動産グループの中でマンション管理を専業とするマンション管理会社です。弊社は首都圏並びに名古屋を中心に営業しており、また、北海道から東北、関西、中国、九州ではグループ会社がその役割を担い、グループ全体で全国約26万戸のお客様からマンション管理のご用命を頂戴しております。

フィールズ:長崎部長の受託営業部はどのような役割を持っているのでしょうか?

当部署は、主に新築分譲マンション・賃貸マンションにおける管理費、修繕積立金などの算出と、規約・細則等のマンションのルール策定など、管理業務内容の企画の立案と提案を行っています。

新築分譲マンションは用地取得の段階から、ターゲットとする購入層やエリア特性などを総合的に分析し、購入者にとって最適なマンション管理の方法を提案する必要があります。このため管理組合の形態として、通常の理事会方式がよいのか、管理者管理方式のほうがよいのか、といった管理形態の提案も当部で行っています。

フィールズ:どのようなマンションで管理者管理を提案されていますか?

三井不動産グループは、大型タワーマンションや高級マンションの分譲実績が多いことが一つの特徴です。現在のマンションの管理業務は、非常に複雑であることに加え専門性が要求されます。このようなマンションの購入予定者(所有者)にとっては、マンションの管理・運営は多くの手間と責任が生じますので、理事会の業務を第三者に委託できることは、付加価値になるという一面があります。

このような状況とニーズのもと、一般的な管理組合の運営を前提とせず、管理者管理を導入することで居住者の皆様の暮らしやすさを向上させるために弊社が管理を行うことをご提案させていただいています。実際に都心部の高級マンションでは、管理者管理を前提とした分譲を行っている物件もあり、今後もそのような物件が予定されています。

管理者管理は客観性・透明性・中立性をいかに確保していくかがポイント

フィールズ:一般分譲の段階から管理者管理を積極的に導入することは、業界でも先進的な取り組みかと存じます。管理規約の文言などは先行事例もありませんから、かなりご苦労されたのではないでしょうか。実際、御社の中でどのようなプロセスで検討されたのでしょうか?

管理者管理の検討を始めたのは6年ほど前ですが、社内で部門横断的なプロジェクトチームを組成したのが4年前です。そこから管理業協会等の指針など様々な外部資料を参考にしながら2年程検討しました。日々の業務執行方法や工事発注時の決定方法など、様々な個別ケースの検討を含め、当社としてどのような体制やスキーム構築が必要か、マンション管理規約はどうあるべきかなど、議論しながら決めてきました。

私共が管理者管理を行う以上、客観性・透明性・中立性をいかに確保していくかがポイントでした。例えば、管理者管理の契約期間は一年とし、定期総会で管理者としての業務報告を行うとともに、次年度の選任をご審議頂き毎年ご承認を頂戴することでガバナンスを確保しました。

これはほんの一例で、その他様々な観点から議論を尽くしてきました。

フィールズ:確かに、管理者管理の管理組合の場合、管理規約の作り方が難しいとの印象を受けました。通常の管理形態と比較して管理者管理の異なる点、難しい点などがあればお教えいただけますか?

通常の管理形態では、理事会において管理者である理事長を選出するとともに、管理会社に管理業務を委託します。管理者管理形態では、管理会社は委託管理契約により管理業務を受託する一方で、理事長や理事会が担っていた管理者業務も別契約で受託することとなります。つまり、管理業務と管理者業務が同一の会社で行われることから、お客様には利益相反の不安が生じるのではないかと思います。

そこで当社としてはまず、管理業務の担当部門は営業部とし、管理者業務の担当部門は担当役員も異なるラインスタッフ部門とすることで、社内のファイアーウォールをしっかりと立て、利益相反を排除しています。

しかし、お客様の立場からするとこうした社内ルールだけでは疑念が払拭できないかもしれません。

そのため管理組合の監事に当たる役割は当社内に設置せず、専門家による外部監査を導入することで客観性・透明性と中立性を確保し、また信頼性を担保することとしました。

フィールズ:利益相反の個別ケースを考えますと、例えば管理者として工事を発注し、自社で工事を請け負うことなども考えられます。実際にこのようなケースの場合、御社としてどのようなルールを設けているのでしょうか?

通常の管理形態では、管理組合のニーズがあれば工事を提案し、直接請け負うこともあります。また、三井グループとして信頼いただき、工事管理だけを請け負って欲しいとのご要望もあります。

しかし当社が管理者となっている管理者管理の組合において、当社が工事を請け負うということは、自社で自社に工事を発注するということです。例え適正な価格であっても居住者の皆様が疑念を持たれるのは想像に難くありません。

そのため工事が必要な場合には、一定のルールのもと複数の工事業者から見積を取得し、最適な工事会社を選定し発注することとしています。

フィールズ:管理者管理は、特に意識の高い富裕層の方々にとって非常に魅力的な管理形態かと思います。実際にマンション管理会社へ支払う費用は高くなることが想定されますが、具体的にはどれほど上がるのでしょうか?

管理者管理の場合、例えば理事会運営に関する管理業務受託者としての負担は軽減されます。一方、管理者としてマンションの状態を現場で常にチェックしたり総会を開催するなど、管理者としての業務に相当する報酬が新たに発生します。

これらを合計すると、当社への費用は多少は増えるとお考えいただければ良いかと思います。

管理者管理には確実にニーズが存在する

【インタビュー】管理者管理最新事例 - 三井不動産レジデンシャルサービス株式会社様の取り組み
フィールズ:御社の管理者管理の導入は、新築マンションのみを対象としているのでしょうか?

いえ、都心にあるマンションでは既存の委託管理から管理者管理へ移行した物件も出てきています。これらはいわゆるファミリータイプではないワンルーム型マンションで、実際に居住されている区分所有者が少数となっています。そのため、何年も同じ区分所有者の方が理事になるといった状態が続いていたため、当社から管理者管理への移行をご提案させていただいたところ、導入が決定し、非常にお喜びいただきました。

これまで管理者管理は、主に高級マンションやリゾートマンションに向いていると考えられてきましたが、単身型の居住用マンションでもニーズがあるということです。当社としては既存の管理受託物件においても、ご要望に応じて管理者管理の提案を進めていこうと考えています。

また、今後は居住者の高齢化を背景に一般のファミリータイプのマンションにおいても管理者管理のニーズが増えると考えています。具体的には役員の成り手不足や高齢化などが問題となり、理事会運営を辞め、管理会社による管理者管理の導入が進むのではないでしょうか。また、同様に自主管理からの切り替えもあるかもしれません。

こうした管理者管理の需要増大に応えるために、当社では数年前から管理者管理のための体制構築やスキームを整備し始め、今まさに準備が整ったところです。

フィールズ:国土交通省が想定する第三者管理は、貴社が進めている管理者管理とはターゲットやニーズが異なるようにも感じますが、いかがお考えですか?

第三者管理が今後どのように展開していくのかは難しい課題ですが、少なくともはっきり言えることは、マンション管理会社に管理者を委託する管理者管理には確実にニーズが存在する、ということです。当社はニーズがある限り、それにお応えできるよう適正な体制とスキームを構築し、提案していくことがお客様視点で大切なことだと考えています。

また、区分所有者の方々の立場に立って考えれば、大切なマンションの資産保全と維持管理を委任するわけですから、管理者管理においては管理者となる者の信用力は最も大切なはずです。

そうした意味でも当社は、しっかりとお客様のニーズにお応えしていかなければならないと考えています。

フィールズ:管理者管理を実際に提供する中で、お客様の具体的な反応などあれば教えてください。

まだ始めたばかりで、評価するには時期尚早ですが、管理者管理を実施する中で特段問題になっていることは現時点ではありませんので、今の所、順調に船出できていると思っています。

組合運営業務や出納会計を受託している立場として監査法人フィールズを選択

フィールズ:貴社の新築分譲マンションの管理者管理では、外部監査を前提としており、弊社にも販売前の段階からご相談いただきました。まずは会計監査の相談先としてフィールズを選ばれた理由を教えてください。

これまで御社とは、古くは管理組合の会計監査や組合会計処理の相談、最近では収益事業の税務申告などで長年にわたり、お世話になってきました。御社の実績はもちろんのこと、業務の質に対する信頼性が高かったこともあります。そのため、自然と御社に一番先にお声がけさせていただいた次第です。

フィールズ:どうもありがとうございます。ただ業務監査の委託先としては弊社以外にも候補があったかと思いますが、フィールズに会計監査同様に相談された理由を教えてください。

確かに御社の同業他社や弁護士、マンション管理士などいくつか候補がありました。しかし、私共は、お客様からお金をお預かりし、それがしっかりと保全された状態を保たねばなりません。組合運営業務や出納会計を受託している立場において、おかしいところがあれば外部からしっかりとご指摘をいただける仕組み、体制が構築されていることは、管理者管理で管理業務すべてを委託するお客様からすれば、最大の関心事であるはずです。

このような事を考えた場合、やはり専門的知識を有し、実績と信頼性で勝る御社に依頼するのが、お客様に安心頂けると考えました。

フィールズ:今回は、業界でも注目の高い管理者管理についてお話をお伺いしました。5年以上もの検討期間や客観性・透明性・中立性を確保する具体的なスキーム構築は業界でも先進的な取り組みかと存じます。弊社も引き続き、責任ある外部監査を遂行することで貴社物件の信頼性向上に寄与していきたいと存じます。

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